小薮温泉は木造三層の建物が、四国の温泉の中でも特に記憶のなかに引っかかり、
訪れる機会を楽しみにしていた温泉である。
宿の雰囲気よりも泉質重視の私だが、ここは特別である。
大正2年に建造された本館は、欄干つきの回り廊下が巡らされ、
3階は外部との仕切りが障子だけという風流なつくり。
2階大広間の欄間や手すりも見事な彫りもので心の琴線に触れる。
この部屋で休んでいると不思議と安らぎ、
「温泉宿の原風景とはこんなものではないか」と、郷愁に浸ることができる。
また、少人数であれば1階「囲炉裏の間」で食事ができるのだが、
ここも煙で煙され黒光りする太い柱と白壁という素晴らしい空間。
炭火で煮る鴨鍋もジューシーな肉汁が溢れる最高の逸品である。
もちろん17度のアルカリ性単純泉も
蛇口をひねるとほのかな硫黄臭が漂うツルツルの湯。
宣伝のようになったが、どれをとっても再訪したくなる和風旅館である。